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生き物のように「呼吸する空間」をつくる





空間は、本来、固定されたものにはなりえない。
人の感情や関係性、時間の流れに応答し、絶えず変化し続けるのを見てきた。

ぼくらGRIDFRAMEは、空間を「完成物」としてではなく、
人間一人一人の思考が動き続ける中で「あるがまま」の自分と再会するための、
動的な関係性の場として捉え、つくり続けている。



そこでは、空間は生き物のように呼吸する。

閉じ、開き、
緊張し、緩み、
秩序化し、崩れ、
意味を持ち、また意味を手放していく。

GRIDFRAMEsystemとGFメッシュという
意味の定められていないパーツとともに
固定されがちな境界を緩めながら、
壊れても壊れても、新しい未来像を起ち上げていく。

 → 参考リンク:SOTOCHIKU通信vol.18



呼吸する空間





人が強く意図するとき、息を吐くか、あるいは息を止めている。
逆に、息を吸っているとき、人は「あるがまま」の状態へ近づいているように思える。

呼吸とは、境界の数秒間スパンの振動なのかもしれない。

ぼくらは、その呼吸のような状態変化を空間の中につくりたいと思っている。




安心して守られている感覚。
そして同時に、まだ見ぬ外部へと開かれていく感覚。

固定された日常の中で、ふと自分の内部が揺らぎ、
何か新しい感覚が立ち上がる瞬間。

そのような「境界が緩む一瞬」を空間の中に生み出したい。



トポロジカルな制作





ぼくらは空間を、静止した形態ではなく、
位相(トポロジー)的な変化の場として捉えている。

壊れたモノ。
役目を終えた素材。
予測不能な関係性。

それらは、単なる「廃材」ではない。

与えられた意味を持っていた時間を記憶し、
別の意味へ変化していく途中にある存在だ。




例えば、壊れた素材をトレーラーへ積み込み、車を走らせると、
振動によって素材同士の関係性は絶えず変化していく。

固定されていた構造が揺らぎ、
新しい形態が偶然に立ち現れる。

ぼくらは、そのような「制御し切らない制作」に強く惹かれている。

完成された世界ではなく、
壊れ続け、変わり続ける世界。

空間とは、本来そういうものではないか。

 → 参考リンク:SOTOCHIKU通信vol.19



創造性の連鎖





GRIDFRAMEでは、空間づくりを一人の作家の表現として完結させない。

プロジェクトは、まず長い対話から始まる。

クライアントがまだ言葉にできていない感覚や願いを受け取り、
そこから「コンセプトストーリー」を紡ぎ出す。

それは設計図というより、
空間が向かおうとしている方向を示す“物語”に近い。




その言葉を共有しながら、
スタッフ、つくり手、素材、現場、偶然性が相互に作用し合う。

すると、同じ言葉から、
人それぞれ異なる創造が立ち上がっていく。

ぼくらは、そのズレを排除しない。

むしろ、その差異の中にこそ創造性が宿ると考えている。

創造とは、統制ではなく、連鎖なのだ。

 → 「創造性の連鎖」の実践



SOTOCHIKU





SOTOCHIKU(ソトチク)は、解体される建物や、捨てられていくモノたちから素材を引き継ぎ、
新しい空間へと生かしていく活動である。

ぼくらは、壊れたモノを「価値を失ったモノ」とは考えない。

そこには、長い時間が記憶されている。



誰かが触れてきた痕跡。
風雨に晒された記憶。
災害や時代の変化を通過してきた痕跡。

そうした時間の層を持った素材が、
新しい空間の中で別の意味を持ち始める。

空間とは、モノの再利用ではなく、
時間の再編集なのかもしれない。

 → SOTOCHIKUとは



ペンキのキセキ





きれいに塗られ、
均質に管理された世界の中で、
ぼくらは時々、強い息苦しさを感じる。

しかし、風雨や太陽に晒されたペンキの表面には、
時間が生み出した偶然の風景が現れる。

人間が意図してつくったものを、
時間という自然が壊し、描き替えていく。



ぼくらはそこに、
人間の設計を超えた創造性を見ることができる。

完成された世界よりも、
つくりながら壊れていく世界のほうがはるかに豊かであることを認めることができる。

だからぼくらは、
「汚しうる美」を空間の中へ持ち込みたいと思っている。

 → ペンキのキセキ

 → 汚しうる美



ABCD分析





ぼくらは長年、人がどのように世界と関係しているのかを考え続けてきた。

そして、ABCD分析という座標平面にたどり着いた。

そこでは、縦軸で分かたれて

閉じているけれど守られている世界
守られていないけれど開いている世界

という、異なる状態が存在している。

人はそのどこか一つに固定されているのではなく、
誰もが日々、その間を移動しながら生きている。



現代社会の多くの空間は、
効率や生産性を優先する「閉じた空間」で満たされてはいないか。

ぼくらは、その中に少しだけ、
別の位相を持ち込もうとしている。

機能から離れ、
一対一で何かと向き合い、
予定調和ではない感覚に触れられる場所。

すると、人はふと、
別のモードへ移動する。

それが創造の始まりになる。

 → ABCD分析



境界を緩める



GRIDFRAMEが目指しているのは、
空間を通して、人間を自由にすることなのかもしれない。

ただしそれは、
「好き勝手に生きる自由」ではない。

固定された役割から離れ、
他者と一対一で向き合い、
再び自分自身を発見できる自由。

ぼくらは、
閉じ込めたり、放り出したりする空間ではなく、

自分の意志で、
愉しく境界を越えていける空間をつくりたい。

生き物のように呼吸しながら、
人とともに変化し続ける空間を。



 → 参考リンク:SOTOCHIKU通信vol.19